2011年6月20日月曜日

ひまわりは放射性物質を吸収するか?乳酸菌は放射性物質を減らしてくれるか?

ひまわり組の中の人たちが協力して、ひまわりの苗を育て、乳酸菌を培養しました。
ひまわりが土の中の放射性物質を吸い上げてくれるというニュースを見ました。乳酸菌製剤を使ったマウスによる放射線耐性実験の論文も見つけました。飯山一郎氏などの乳酸菌が放射能対策に有効だという方が大勢いるようです。

金も力もない普通の人が何ができるだろうと考えた末、ひまわりと乳酸菌を持って福島に行こうということになりました。
平成23年6月12日と6月19日に2人のメンバーが福島県相馬郡飯館村に行って、ちょっとした実験をしたので、その結果をご紹介します。


6月12日の作業

飯舘村の耕作をしていない場所を探して、ひまわりの苗を植えました。
面積は4平方メートル程度のひまわり畑です。
概ね30cm間隔で6本のひまわりの苗を5列に植え、そのうちの2列には下の写真のように苗の周りを藁などで覆って乳酸菌を散布。その他の3列には水のみを散布。(水はあらかじめ浄水したものを持ち込んだ)



6月19日の作業

  1. ひまわり畑に隣接する遮蔽物のない土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測。
  2. 次にひまわりの根元部分の土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測。
  3. 次に乳酸菌を散布した土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測。計測の際には藁などをすべてどけて地面を露出させる。


計測条件および計測方法

  • 計測場所の環境放射線量率は2.5μSv/h程度。
  • 一カ所につき概ね4〜8秒おきに3〜5回を計測してサーベイメーターの表示を写真に記録。
  • サーベイメーターはあらかじめビニール袋に入れて、土壌に直接置いて計測。
  • 撮影場所は上記1〜3についてそれぞれ3カ所。(隣の撮影場所との距離は30cm〜50cm)
  • 計測に使用したサーベイメーターはDP802i(中国製)とROTEM RAM GENE(イスラエル製)。
計測中の写真

計測結果

1.ひまわり畑に隣接する遮蔽物のない土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測

時刻DP802iRAM GENE計測場所
7:10:17 7.17 40 A
7:10:21 7.09 44 A
7:10:27 7.03 41 A
7:10:52 6.84 43 B
7:10:56 6.84 43 B
7:10:17 6.71 69 B
7:10:17 6.90 35 B
7:10:17 7.15 41 C
7:10:17 6.96 41 C
7:10:17 7.22 42 C
7:10:17 7.10 41 C

2.ひまわりの根元部分の土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測

時刻DP802iRAM GENE計測場所
7:12:07 6.02 39 D
7:12:11 5.64 39 D
7:12:17 5.70 36 D
7:12:32 5.52 36 E
7:12:38 5.33 36 E
7:12:44 5.45 37 E
7:12:48 5.77 37 E
7:13:23 5.64 41 F
7:13:27 5.52 42 F
7:13:35 5.96 39 F

3.乳酸菌を散布した土壌の上でGM管方式のサーベイメーターで放射線量率を計測

時刻DP802iRAM GENE計測場所
7:14:12 6.18 34 G
7:14:18 6.11 36 G
7:14:22 7.09 36 G
7:15:45 5.70 15 H
7:15:50 5.01 14 H
7:15:56 3.88 15 H
7:16:04 3.50 17 H
7:16:46 8.04 33 I
7:16:53 7.22 32 I
7:16:59 7.09 32 I
7:17:09 7.28 32 I

下のグラフはトレンド線を追加した上記計測結果です。






































3の乳酸菌散布のデータにばらつきが大きいのは、乳酸菌が均一に散布されていないことを示すものと思います。
もう少し奇麗なデータが取れなければ考察をするのが困難です。

わずかにひまわりの根元の方が、何も処置をしていない土壌の上よりも、計測値は低い傾向にあります。
乳酸菌を散布した土壌の放射線量が大きく下がっているデータがありますが、これだけをもって「乳酸菌がいい!」と言い切れるかは疑問です。
ぬか喜びにならないためには、追試が必要だと思います。

何度も現地に行って実験をするのも大変です。
興味のある方は、同様の実験を行って、情報の公開・共有をしていただきたいと思います。
協力できる事があれば協力させていただきます。

この実験とは別に、6月12日に少量の放射性物質で汚染された土のサンプルを採取し、乳酸菌投入後に放射線量率が変化するかを検査しました。乳酸菌を投入した7時間後にはサーベイメーターが表示した数値はとても低いものでした。
ただしサンプルが少量だったために、追試するために今回もサンプルを採取して持ち帰りました。
こちらは少し経過を見てから計測値を公開する予定です。

ご意見、お問い合わせのコメントは大歓迎です。

2 件のコメント:

  1. 乳酸菌と放射性物質との関係に興味があり調べています。実際に土壌に散布し、それがどうなったのか検証された情報がほとんど見当たらないので、こちらで計測が続けられるようなら、注目したいと思います。
    ところで、ひまわりの土壌改善については、以下のページが参考になると思います。
    http://thesis.ceri.go.jp/center/doc/geppou/chishitsu/00160140701.pdf
    育ったヒマワリは、根っこが接する範囲の土壌からセシウムを吸い上げて茎や葉に蓄積するらしいです。放射性物質がなくなるわけでなく、ヒマワリに移動するだけなのです。
    だから収穫したヒマワリは放射性廃棄物になると思います。
    それをどう処理するのかも、責任もって行ってほしいと、切に願います。

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  2. コメントありがとうございます。
    おっしゃる通り、ヒマワリに放射性物質が移動するだけで、その処理が問題となります。
    これからやろうと思っているのは、発酵環境を作り、そこで菌を増殖させながら、その中に汚染土を置くような実験です。
    まだ確信は得ていませんが、上の一番下のグラフの低い放射線量率を記録した箇所が、藁が湿っていて発酵が続いていたように思い、もしや、発酵環境を維持すれば、何か変化があるのではないかと思っています。
    もし、発酵環境が上手く構築できれば、放射性物質を吸収したヒマワリを裁断して、その中に埋めることによって、何か良い結果が出るかもしれません。
    現時点では汚染土のサンプルを使って実験をすることになりますので、当面現地での実験は予定していません。
    同様の実験を行っている方がおりましたら、教えていただければと思います。
    何らかの形で一緒にできたらと思っています。

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